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ることが期待される状況になっているが、そのアプリケーションは当面、電子メールにとどまっており、「行政情報化推進基本計画」でいう、各省庁間の情報流通の円滑化には未だ、遠い状況にある。霞が関WANが現在時点で、上記のような限界があるとしても、各省庁LANを接続したネットワークが構築されたことは、今後の発展を期待させるものであることは間違いない。しかしながら、このネットワークは、各省庁が設置したファイル・サーバーを相互に接続するものであり、このサーバーは、各省庁LANの外に設置され、ファイアウォールで外部からのアクセスは厳しく制限されている。各省庁内の様々な情報はかならずしもすべてが公開されるものではない以上、必要な措置であるが、これにより、各省庁が相互に交流する情報は、各省庁の個々の判断に任され、自ずと制約されることとなろう。各省庁間で交流する情報の範囲を拡大するような方策を確立するとともに、情報交流に対する積極的な協力を図る必要がある。

現在の電子メールだけであるアプリケーションをさらに拡大していくためには、既存の規定・手続面での見直しや改正が必要になろう。例えば、現在、公文書交換センターを通じて交換されている公文書を、この霞が関WAN経由で交換することは電子メールに次いで必要性の高いものであるが、「公文書」であるゆえに、解決すべき課題がある。

しかしながら、これら課題は解決不可能なものではなく、むしろ、最近の情報通信技術の活用によって、従来の紙による使送便より確実性の点で優れたものにすることも可能であると考えられる。検討されるべき事項は以下のとおりである。

?@ 迅速性

現在の公文書交換方式では、最大限でも一日2便であり、しかも通常の勤務時間帯の範囲内でしか授受されない。したがって、急を要する情報の交換や、やり取りは、現在、電話やFAXで行い、結果的にまとまったものにつき、後に公文書として作成し、使送便を使って送るという二重の手間を掛けることになる。

霞が関WANを活用して、各省庁間で情報を交換することができれば、上記のような文書交換が迅速に行われ、時間外でも流通が可能になり、FAX等との二重手間も解消されることになる。電子メールに次ぐアプリケーションとして早急に運用開始すべきものであろう。

?A セキュリティ

公文書の電子的媒体やネットワークによる交換で常に問題とされる点は、紙による場合と比べて確実性に劣るということである。確かに電子媒体の安定性は紙に劣ると

 

 

 

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